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2021.01.05

「おかねの作文コンクール」で本校生徒が金融担当大臣賞を受賞しました

明けましておめでとうございます。
本年も学校での教育活動の様子や生徒の活躍をこのNEWS&TOPICSで紹介して参ります。
是非引き続きご覧いただければと思います。

新年初めのNEWS&TOPICSは昨年実施された第53回「おかねの作文コンクール」での受賞の紹介です。
本校中学3年の隠岐知夏さんが特選である金融担当大臣賞を受賞しました。
また、本校が学校賞を受賞しました。

「おかねの作文コンクール」は金融広報中央委員会が主催し、金融庁、文部科学省、日本銀行などが後援として行われる作文コンクールで、全国の中学生を対象に作品を募集しています。
「おかね」に関することであればテーマは自由で、2020年度は1,723点の作品が応募されました。

隠岐さんは「ぶたの貯金箱の使い道」をタイトルに作文を応募し、見事特選である金融担当大臣賞に選ばれました。
受賞作を掲載いたします。

「ぶたの貯金箱の使い道」 隠岐知夏

 人はお金でモノを買います。一方で、本当に買えたのはその一瞬の満足感だけであるという買い物がしばしばあります。特に小学生のころの私はそればかりでした。少し難しくて読んでいたらかっこよさそうな本、周りの友達みんなが持っている文房具、なんとなく集めたかったストラップ。全部買っては読まずじまい使わずじまいで、部屋にはモノが溢れかえり、悩んでいました。そこで私は中学1年生の時、いわゆる「断捨離」をすることにしました。「今、使っていないモノは捨てる」と心に誓い、どんどんモノをゴミ袋に詰めていきます。本棚からは開いた形跡さえない本が、引き出しからは一生かかっても使い切れないと思うほど大量の色ペンと見たこともないストラップがいくつも見つかり、残念ながら全てゴミと化しました。結局、小さな自分の部屋からゴミ袋3つ分ものゴミが出ました。

 しかし、すっきりとした部屋を見ても私はちっとも嬉しくありませんでした。それは使いもしないのに買っていた、ゴミ袋に詰まったたくさんのモノを見て、今までの自分の行動の愚かさを実感したからです。「もったいない」とモノそのものに対しても、支払ったお金に対しても感じました。見栄や一瞬の満足感のために。まさに「塵も積もれば山となる」でかなりのお金を捨てたことに気づいたのです。

 翌日、母と一緒にゴミ袋のなかのモノをバザーに出したり、寄付したりするために仕分けている時、母からもらったお小遣いをこんなに無駄にしてしまっていたことに申し訳なさを感じて、小声で「ごめんなさい」と言いました。すると母は優しい声でこう言いました。「いい勉強になったね」と。私は怒られると思っていたのでびっくりしました。母は続けて「こういうためにお小遣いを渡しているのよ」と微笑みました。私は母のその顔を見て、ゴミ袋に入ったぶたの貯金箱を机の引き出しに戻しました。

 それ以来私は、無駄な買い物をしないように、買う前に一度立ち止まり、必要性を考えることが出来るようになりました。おかげで浪費しなくなったお金を、あの時ゴミ袋から戻したぶたの貯金箱にコツコツ貯めています。そのお金は母がくれた「お金の大切さ」を学ぶ勉強代の分、母に何かプレゼントをするためのものです。それは貯金箱を引き出しに戻した時からずっと決めていました。

 お金とは、たくさんのことが出来る素晴らしい存在です。もちろんお金で欲しいモノを買うことが出来ます。しかし決してそれだけではありません。ゲームを買うことで楽しい時間を過ごせたり、遊園地に行って友達とのかけがえのない思い出を作れたり、タクシーに乗って時間や快適さを買うことが出来ます。それと同時に、見栄やプライドのためだけにお金を使うことだって出来ます。では、一体お金は何のために使うことが大切なのでしょうか。まだ自分で稼いだこともなく、働かなくても生きていける私に答えは出せません。それでもお金に関して、無駄遣いをしていたあの経験から言えることがあります。それは、「お金はたくさんあれば幸せなわけではない」ということです。私はたくさんお金を使ってモノを買っていた時、いつもどこかで満たされない気持ちがありました。しかし、お金の使い道をよく考えて行動するようになってから少しのお金でも、自分の本当に好きな趣味にお金を使って没頭したり、今あるモノを大切に、愛着を持って使ったりすることが出来るようになって、とても満足感を持っています。現代はお金があれば幸せになれると思っている人が多いように感じます。しかし本当に大切なのはお金をたくさん「持つ」ことではなく、そのお金をどのように「使う」のかということではないでしょうか。

 私はぶたの貯金箱に入れたお金の使い道は自分自身が幸せになれる最高の使い道だと思っています。将来、社会に出て働いた時も、見栄やプライドのために欲しくもないモノを買うのではなく、自分や周りが幸せになれるお金の使い方をしたいです。

「おかねの作文コンクール」が掲載されているサイトである金融広報中央委員会「知るぽると」は以下のURLもしくは、下のサムネイル画像をクリックしてご覧いただけます。
https://www.shiruporuto.jp/

生徒たちには隠岐さんのように広く社会を見つめ、自らの生き方を深く思索していけるよう、学校での学びや学外活動に取り組んでいってもらいたいと思います。

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