洗足学園には「世界への扉」があります。その扉を開けるとひとたび世界へ飛び立つことができます。生徒一人ひとりがその扉の鍵を持っていますが、その鍵とは「積極的かつ自主的に考えて動くこと」です。日本を旅立ち、異国の地での生活を経験することで視野が広がり、視座も高まります。世界中の人々との交流を経て、将来どのような人間になりたいか、どのような職業に就きたいかについて深く考える機会となります。
親元を離れ、見知らぬ土地で生活をすることは、並大抵のことではありません。中高生にとっては非常にハードルが高いことです。しかしだからこそ、洗足学園は困難な道に挑戦する生徒たちの背中を、そっと押します。なぜなら、海外での経験を通してでしか得られないものがあるからです。それは、何物にも代えがたい知識・教養はもとより、柔軟な思考力、批判的に物事を判断する力、他者とコミュニケーションを取りながら協力して目標に向かっていく力です。なぜそのような能力が重要なのか。「世界を変える」という言い方をすると大げさかもしれませんが、将来自分が属するコミュニティや社会にインパクトを与えるため、自分と周囲にいる人々が住む世界をより良い社会に変えることができるようになるために、他者の視点に立って自らの視点を常に省みる必要があるのです。海外研修・留学を経験することにより、そういった能力を培うことができます。
国際化がますます進む中で、これからの時代を生き抜いてゆく子供たちにとって必要なもの。それは、「自ら課題を見つけ、それを解決していく力」です。洗足学園では21世紀を担う国際人を育てるための国際化教育に力を注いで参りました。
洗足学園の留学・研修プログラムは、全て本校が独自に開発・実施しているもので、特別なルートで厳選された学校から選定しています。さらに留学中のプログラム内容に関しても、本校と提携校が共同で開発し運営しています。単なる海外経験を超えた、国際感覚や広い視野を身につける内容となっております。
9回目を迎える洗足学園模擬国連同好会主催「ジャパンメトロポリタン模擬国連大会」(JMMUN)が、2024年3月23日(土)24日(日)に開催されました。
昨年度までは新型コロナウィルスの影響もあり、対面とオンラインのハイブリッド型で開催されましたが、今年度はすべての会議を対面に戻して実施いたしました。国内・海外から52校、439名が参加しました。海外からの参加は、16か国となり、JMMUNが国際大会としての規模を誇る模擬国連大会であることを示しています。
今回のメインテーマは「Magnify: Examining Overlooked Crises」。
初日は開会式のあと、基調講演が行われました。基調講演では、スロベニア共和国大使館の副所長であるジャカ・ミクラフチッチ氏にお越しいただきました。生物多様性を重視した世界を目指す上で、経済的な利益を求めつつもクリーンエネルギーを用いるなどして生態系を守る取り組みが必要だと説いていました。基調講演を終え、ある生徒にスロベニアの豊富な森林を輸出することに賛同するかと聞かれたジャカ・ミクラフチッチ氏はこう答えました。
「今後10年間の割り当てが既に販売されたため、それはできません。」
「そんなにたくさんの森林があるのに?」
「もちろんあります。しかし、これ以上伐採を行っての輸出はいたしません。」
「なぜですか?」
「私たちの掲げる目的は、経済的利益を満たすためではなく、自然を保護することだからです。」
大講堂でのオープニングに引き続き、4つの国際問題をテーマにした委員会が開催されました。初めて模擬国連に参加する学校の生徒たちにも、模擬国連の楽しさを感じてもらえるよう初心者クラスも設け、中級者クラス、上級者クラスと3つのレベルを委員会に設定しました。どの委員会も世界に跨る国際問題がテーマとなります。
参加生徒たちは2日間のプログラムで、白熱した議論を行いました。本校模擬国連同好会の生徒たちは、各委員会の議長としてファシリテートしながら、参加者が合意できる決議案の採択に全力を尽くしていました。運営を行った本校の生徒たちも、参加した国内及び世界各国の生徒たちも、実りの多い2日間でした。